山口一生 佐賀県太良町議会議員
一般質問 /

「祭りができない」は恥じゃない。浮立(ふりゅう)存続のための「休む・頼る」という選択肢

実施:2025-12-09(令和7年12月議会)
種別:一般質問
テーマ:浮立(ふりゅう)存続のための「休む・頼る」という選択肢

要点3つ

課題:担い手不足は「努力不足」ではなく、渡す人が多く受け取る人が少ない人口構造が生む限界。
提案:地区が「続ける/見直す/縮小/一時休止」を主体的に選べるよう、相談窓口と事例共有を整える。
結果:町は一律の方針は難しいとしつつ、民芸保存会での事例共有や文化振興係での相談対応など、伴走の枠組みを示した。

背景

太良町の各地区で大切にされてきた浮立(ふりゅう)や祭り。
しかし今、人口構造の変化で「渡したい人(高齢世代)」が多く、「受け取る人(若者・現役世代)」が少ないという状態が進み、従来どおりの継続が難しくなっています。

無理をして現役世代が疲弊してしまう前に、地区が**「見直す」「縮小する」、あるいは「一時休止する」**ことも含めて、納得のいく選択ができる環境が必要だと考え、質問しました。

質疑応答(要点)

※正式な議事録は公開後に追記します(本稿は書き起こしを基に整理)。

Q1. 迷った地区が相談できる場、他地区の事例共有を整えるべきでは?

A(町側の答弁・要旨)
地区ごとに事情が異なるため、町が一律に「こうすべき」と示すのは難しい。
一方で、民芸保存会の場で他地区の取組を紹介するなど事例共有を行い、相談は社会教育課の文化振興係で対応していく。

Q2. 地域活動全般の「負担」を町が調査・可視化する考えは?

A(町側の答弁・要旨)
活動の形態や負担の質は様々で、時間・労力だけでなく精神的負担もあり個人差も大きい。
そのため、負担の種類・質・量を正確に反映するアンケート実施は難しい。
ただし、地区が判断しやすい情報整備(聞き取り等)については、今後検討し得る。

Q3. 後継者育成の「成功事例」は近隣にあるか?

A(町側の答弁・要旨)
諫早市の「浮立フェスティバル」で、飯盛の田結地区が地区外参加を募り、学校や公共施設へのチラシ配布を通じて地区外33名の参加につながった事例が紹介された。

Q4. 披露の場(発表機会)をどう確保するか?

A(町側の答弁・要旨)
披露の場は参加者のモチベーションに繋がる。
太良町文化祭の中で披露できるか、文化連盟・出演団体と協議して検討していく。

一生の視点(解説と今後)

  • 「伝統を守る」=「今まで通りやること」ではない。続け方を選び直すことも、守るための戦略。
  • 迷った地区が使える“判断材料”を、重すぎない形で整える(聞き取り・事例集・相談導線)。
  • 担い手は「町内」だけでなく「町外」にもいる。町外の出身者が戻って参加できる導線も、現実的な選択肢になり得る。
  • 子どもが憧れる入口(披露の場、企画展など)を増やし、未来の担い手に繋げる。

一次情報

  • 令和7年12月議会 一般質問(音声書き起こしテキストを基に編集)
  • ※議事録URL/動画URL/配布資料URLが公開されたら追記予定
▶ 全文(書き起こしテキスト)を読む

◆▼午前9時30分 開議▽ ▼○議長(江口孝二君)▽ 皆さんおはようございます。  定足数に達しておりますので、議会は成立いたします。  ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事をお手元に配付しております議事日程表のとおり進めます。       ▼日程第1 一般質問▽ ▼○議長(江口孝二君)▽ 日程第1.一般質問に入ります。  今回の一般質問通告者は6名です。一般質問の日程を2日間設けておりますので、本日は4番通告者大鋸議員の質問まで行いたいと思います。通告順に従い、順次質問を許可します。  1番通告者、山口議員、質問を許可します。 ▼○5番(山口一生君)▽ 議長の許可を得ましたので、通告に従い質問をさせていただきます。  今回の一般質問は、文化継承と地域の持続可能性についてということで、いろんなお祭り等の話を質問させていただきたいと思います。  本町では、浮立をはじめとする多様な地域活動において、人口減少の影響により、渡す人(引き継ぎたい世代)が多く、受け取る人(働き盛りの世代、若い世代)が少ないという人口構造が生まれています。この状況は、意欲や努力の問題ではなく、人口構造そのものが生む構造的な限界と認識をしています。したがって、各地区が自分たちの実情に応じて続ける、見直す、縮小する、一時休止するなどの選択を主体的に行える環境整備が必要であり、行政には判断の押しつけではなく、迷ったときに相談できる場の提供や他地区の事例の共有など、変化そのものを支える役割が求められると考えています。  以上を踏まえ、以下について伺う。  1つ目、本町の人口構造の変化、渡す人が受け取る人よりも多いという状況が文化継承や地域活動にどのような影響を与えると認識しているか。  2つ目、この人口バランスの変化を町としてどのような課題として捉えているか。  3つ目、消防団、PTA、青年部、祭り等における働き盛り世代の負担の現状を町はどのように把握をしているか。  4番目、地域活動全般に共通する負担構造の見える化に今後どのように取り組む考えか。  5つ目、各地区が続ける、見直す、縮小、一時休止などの選択を主体的に行えるよう、町としてどのような支援を考えているか。  6つ目、判断に迷う地区に対し、相談の場の設置や他地区の事例紹介など、伴走的な支援をどのように整えていくのか。  7つ目、浮立等の文化継承を百年の計と捉えたとき、人口減少期の現在、行政はどのような長期的役割を果たすべきと考えるか。  8つ目、地区が時間をかけて形を選び直していく過程を行政としてどのような姿勢で支えていくのか、現時点の考えを伺います。  以上です。 ▼○町長(永淵孝幸君)▽ 山口議員の文化継承と地域の持続可能性についてお答えいたします。  1番目の本町の人口構造の変化、渡す人が多く受け取る人が少ない状況が文化継承や地域活動にどのような影響を与えていると認識しているかについてでありますが、本町の人口構造は人口減少と少子・高齢化が進行しており、これにより文化の継承や地域活動の維持、継続に影響を及ぼしていることは認識をいたしております。  2番目のこの人口バランスの変化を町としてどのような課題として捉えているかについてでありますが、人口バランスの変化に伴い、地域コミュニティーの活動機能及び持続可能性の低下を課題として捉えています。  3番目の消防団、PTA、青年部、祭り等における働き盛り世代の負担の現状を町はどのように把握しているかについてでありますが、具体的なアンケート調査などを行っておりませんが、働き盛り世代は、社会や地域の中心的役割を担いつつ、家庭での責任や育児、介護を抱えているケースも多く、時間的、精神的、経済的な負担が集中しているものと認識をいたしております。  4番目の地域活動全般に共通する負担構造の見える化に今後どのように取り組むかについてでありますが、現在のところ負担構造の見える化については、各地区での地域活動には様々な形態があり、取り組む予定はありません。  5番目の各地区が続ける、見直す、縮小、一時休止などの選択を主体的に行えるよう町としてどのような支援を考えているかについてでありますが、今後どのような文化を継承していくかについては、各地区において主体的に判断されると考えておりますので、町としては情報提供などの側面的な支援を行いたいと思っております。また、伝承芸能活動を行った地区に対する活動助成や衣装、用具購入に対する助成については、今後も継続をしてまいります。  6番目の判断に迷う地区に対し相談の場の配置や他地区の事例紹介など伴走的な支援をどのように整えていくかについてでありますが、伝承芸能活動を実施してきた地区の区長で組織する太良町民芸保存会の会議の場において、他地区の事例紹介などを行っていきたいと考えております。また、相談の場については、民芸保存会の事務局であります社会教育課文化振興係が対応してまいります。  7番目の浮立等の文化継承を百年の計と捉えたとき人口減少期の現在行政はどのような長期的役割を果たすべきと考えるかについてでありますが、今後も伝承芸能活動を行った地区に対する活動助成や衣装、用具購入に対する補助を継続したいと考えております。また、地域の宝である伝承芸能を未来へつなぐ担い手育成の観点から、成功している全国の事例紹介など、適切な情報提供を行いたいと思います。  8番目の地区が時間をかけて形を選び直していく過程を行政としてどのような姿勢で支えていくのか現時点の考えを伺うについてでありますが、今後の文化継承の在り方については、各地区が主体的に判断されると思いますので、その判断に必要な情報提供など、伴走的な支援を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 答弁ありがとうございます。  今回質問をさせていただいているこの浮立とかいろんなお祭りとかくんちとか、いろんな地区でいろんな呼び方があるかと思います。実際、今町内でどういった数のお祭りとかその組織とかそういったものが幾つぐらい残っているのか、まずそこからお伺いしたいと思います。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  現在、町内の16の行政地区で浮立等を行っております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 16地区で浮立と呼ばれることが行われていると。ほかにあと2つ、道越地区であったりとか竹崎地区であったりとか、浮立ではないんですけれども、違った様式のお祭りというのが以前から行われているというのが現状かと思います。それで、いろんな時代が変わるごとにそういった地区での開催とかそういったものがどんどん変化してきているのが太良町の歴史の上でもあったかと思います。  それで、今こういったお祭りをするってなったときに、コロナがあって、四、五年全くそういった活動ができないというのが2020年頃からありました。それで、気づけばもう2025年になっていて、もうそんな時間がたってしまったのかというところを皆さん何かふと考えることがあるかと思います。  それで、私もここ3か月ぐらい、いろんな地区でお祭りというか浮立が再開をされているのを見てます。例えば油津地区であったりとか瀬戸地区、そういったところが今年開催をされていると聞いています。私の地元である伊福地区も去年から再開をしています。実際に祭りをするってなったときに、やっぱりするかせんかみたいなところで結構議論があるかと思います。もちろん簡単にやめることもできないけれども、人数が少なくて以前のようにできないというのが現実かと思います。  それで、今日皆さんと一緒に考えてみたいのは、なぜそのお祭りをするのがこんなに難しいのかというのをもう一回一緒に考えたいなと思っています。これが見えると思うんですけれども、よく見る人口のピラミッドと呼ばれるやつですね。逆三角形になっていて、要するにお年を召された方が多い、それで若年層は少ないという日本の人口構造の図になるんですけれども、ここに問題が全て集約をされているというのが今回の一般質問の趣旨でございます。  今太良町は人口が8,000人を切って、恐らく7,500人、600人ぐらいだと思うんですけども、それが高齢化率が40%を超えていると。つまり、65歳以上の方が40%を超えているという状態です。それで、若年層はどんどん減ってるということになってるんですけども、今答弁をいただいた中で、例えば働き盛りの世代と呼ばれる生産年齢と呼ばれるエリア、例えば二十歳から65歳ぐらいまでの人たちが今どういう状態にあるかというのを調べてみてはどうですかということで、最初質問をさせていただきました。  ちょっと追加で質問をしたいんですけども、地区に判断を任せる前提として、町としてそういったところを担っていく働く世代の負担の状況をアンケート等で把握するお考えというのは、今のところあられるのか、今後可能な範囲でデータを集める、状況を調査する、そういったお考えというのは今のところあられるか、そこについて回答をいただきたいと思います。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  まず、各地区の地域活動については、様々な形態や背景等があります。また、一部の活動については、時間や労力じゃなく、精神的負担も伴います。その負担感については個人によっても様々なため、負担の種類や質、量を正確に反映するアンケートの実施については困難であると考えております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ いろんな地区でいろんな状況があるので、それを全て調べるということは今のところ考えていないということで理解をしました。  実際全て調査をしてほしいという意味合いでは実はなくて、実際にどういったケースがあるのかというのを少し認識を行政のほうにもしていただきたいなと思っています。  人口が減って、実際に共働きの世帯も、ほぼほぼ共働きの世帯になっています。もちろん太良町は出生率も高くて、子供もたくさんいます。それで、親が両方いるところとかシングルで育てられてるところ、たくさんあると思うんですけども、例えば子供の数が半分に今なっているとかという状況があると思うんです。子供の数が半分になっているということは、例えばそこの保護者の数もその学年に半分になっていると。例えば同じようなPTAの活動をしようと思っても、半分の親で例えばほとんど同じようなことをこなしていかなきゃいけないということで、実質的に負担は倍と。  そして、もう一つが、私も以前一般質問で質問をした消防団ですね。消防団は地域になくてはならない活動組織なんですけれども、消防団をなかなか引退することができないというふうな構造的な問題があります。それで、20年前ぐらいは40ぐらいになったら部長にして、それで上がりということで、段階的に地区とかいろんな役割をこなしていくというのがうまく回っとった時代が20年前ぐらいまではありました。それが、今となっては消防団は下手したら50歳ぐらいまでしないといけないとか、そういうのが実際出てきてしまっているというのが状況としてあります。そうこうしとったら、例えば地区で役ばしてくれんねと言われて、1つ役を請け負ったら、また違う組織の役をして、また違う組織の役をして、しかも仕事をしないと御飯を食っていけないわけですから、仕事も例えば役職がついたり責任が重くなったりして、そうこうしてたら子供が育ってきて、学校に行かせんばとかですね。これは時間がどう考えても足りませんという状態に実はいろんなことを担っている世代というのはなってきているのが状況です。  もう一つ、そういった中で、どういうふうに地区としてやっていくかというのを地域として自主的に判断をしてほしいということを町長の答弁でおっしゃっていただきました。もちろん例えば行政が祭りば絶対せんばとか、そういうことを言うことはできないですよね。でも、その判断をするとなると、いろんな迷いがあるかと思いますけれども、例えばその地区が判断をしやすいように、地区別の実施の状況だったりとか、担い手数とか年齢構成とか必要なグループの数とか、3つ目に他地区の情報共有の仕組みとかというのを今後判断の材料として提供できるような形で今後整備をしていくことが可能なのか、そういったことに検討も今後できるのか、そこらあたりを教えてください。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  議員に御提案いただいた地区が判断しやすい情報の整備につきましては、各地区への聞き取りアンケートとかすれば実施可能だと考えております。それで、各地区が判断するに当たってどのような情報が必要とされているかについては、民芸保存会の中で十分検討してまいりたいと思っております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 今後民芸保存会という町がホストをされている組織の中で十分に協議をされていくということで理解をしました。  実際この民芸保存会というのは、どういった方が所属をされていて、どういったことを今されている組織なんでしょうか。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  まず、民芸保存会の設置目的につきましては、時代の進展とともに社会生活の変化により古くから伝わる郷土民俗芸能が消滅することを防止し、その保存育成に寄与することを目的とした団体でございます。その会員につきましては、町内の19地区の代表、区長さんが会員となっております。事業の中身につきましては、民芸保存事業を実施した団体等に対し予算の範囲内で補助金を交付しています。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 太良町の民芸保存会というのは、幾つかの地区が集まって、自分たちの地区のお祭りとかそういう伝統芸能を維持していこうというところを町がバックアップをされているということで理解をしました。  そもそも太良町の民芸保存会というのが、昭和40年ぐらいに結成をされたということを以前お伺いしたことがあったんですけれども、昭和40年ぐらいに結成をされた背景というのは、何かそういった事情があったんでしょうか。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  先ほどの答弁ともかぶる部分もあると思いますけれども、町内における伝承芸能の消滅が危惧されているということで、その当時につきましては、町と、あとJAと共同でこの会を立ち上げた次第でございます。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ この昭和40年代というと高度経済成長期ということで、太良町から確かに人はたくさん生まれたけれども、どんどん人が出ていった時期というのがあって、そのときに一度この浮立とかお祭りとかというのが存続の危機になりましたと。それで、第2次世界大戦後、そのときも戦争中にお祭りをするわけにいかないというので、そのときもやまってましたと。その後、復興とともに再開をして、昭和40年代ぐらいにまた人が出ていってしまって、存続の危機を迎えていると。なので、定期的に存続の危機というか、今後ちょっとどがんしゅうかと、人の足らんねみたいなのが定期的に来てるというのが流れとしてあるのかと思います。  それで、こういった中で、今回先ほどお見せしたこういうふうに人口構造がなっちゃってるというので、最初の一般質問の冒頭でも申し上げたんですけども、渡したいと思う世代の人たちと受け取りたいと思ってる人たちの間でアンバランスが起きてると。例えば渡したいという人は10人いるんだけども、受け取り可能な人が3人しかいないと。そしたら、7人の人が渡したいものが渡しようがないというような状態に物理的になるということですね。その渡される側の3人も、何かだんだんいろんなことが人が少なくなってきてお手玉が難しくなってきて、なかなかいっぱい言われても困ると、これにさらに祭りもせろとか言われても頭がパンクしますと、そういうのがいろんな世代で起きてるのかなと思います。  それで、ここ3か月ぐらいいろんな方と話をする中で言われるのが、特に年配の方から言われるのが、祭りばどがんしていくとって、祭りをやめてよかとみたいな感じで私も言われることがあって、いや、俺一人に言われてもちょっとよう分からんけんなというのがあって、それで今回これを一般質問でわざわざ質問をしてるというところがあります。  それで、先ほど答弁をいただいた地区のアンケートとかというのは、今後民芸保存会とかそういうところも踏まえていろんな話を聞いていくということで、もう一つ答弁で聞きたいのが、人口戦略と文化継承をつなぐ意味で、子供向けの観覧の機会とか体験会、学校連携、●   の出向イベント●など、未来の担い手育成へ町として踏み込む考えというのが今のところあられるのかなというのが私の関心としてあります。  もちろんこういったやる人が少ないという状態で、新規の会員さんとか新規を募集していくというのが今後必要になっていくのかなと思っていますけれども、ここ5年ぐらいコロナとかいろんな事情で、例えば小学生の中にも小学校に上がってから一度もそういうお祭りを見たことないという人が多分いらっしゃると思うんですよね。なので、そういったところとつないでいくというのが今後一つの可能性として必要なのかなと思ってるんですけれども、そこについてはいかがお考えなのかを教えてもらってもよろしいでしょうか。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  伝承芸能を未来へつなぐ後継者の育成が各地区が抱えている共通な課題だと認識しております。先ほど議員が言われたとおり、今の小・中学生については、コロナ禍によって浮立等が中止になって触れ合う機会が少なく、不足している状況でございます。まずは、各地区の浮立を紹介する太良の浮立企画展等を歴史民俗資料館で計画できないか検討してるところでございます。また、伝承芸能の担い手となってくれるボランティアの養成について、これも民芸保存会の中で十分検討したいと思ってます。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ ありがとうございます。今後そういった民芸保存会と連携をして、その企画展というか、そういったものを今後検討をされていくということで理解をしました。  いろんなところにこういう浮立の思い出というのが太良町はちりばめられていて、皆さんやっぱりそういった写真とかを家に飾ってたりとか、私も聞いて回ってたところ、いろんなビデオとかが実際家に残っとったりするようです。なので、何かそういうのをちょっと見れる機会というか、実際同じ規模で祭りをするというのがちょっと難しいということもあるかと思いますので、せめて思い出をみんなで見る機会があったらいいかなというのは感じているところであります。  実際浮立の企画展というのがどういったイメージで今いらっしゃるのか、そこを可能な範囲でいいんですけれども、教えてもらえないでしょうか。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  まだ詳細には決めておりませんけれども、まず各地区によって衣装、面等も違います。そんなのをまず展示して、あと各地区で踊られている踊り等をビデオ等で流していけないかなと考えております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ その当時のこととか今踊りとかいろんな背景を知ってる方がいらっしゃるうちに、なるべくいろんな世代を巻き込んでそういった情報を整理していく必要があるのかなと思っています。  それで、ある方と町内でお話をしていたときに、もう師匠さんのおらんごんなんしゃったもんねみたいな、そういう話を聞くことがありました。もちろん教わる人も少ないという状況があるんですけれども、それを教えてくれる、指導をしてくれる師匠さんが、例えば年齢等によっていなくなってしまうというのが今起きてしまっている状況でありますので、もちろん地区にそういった判断をお任せするというのは、絶対そうだと思います、町が決めることはできないというか、行政として決めることはできないけれども、迷いがある人に対して支援をするというのは可能なのかなと思っています。  そこについてもう少し質問したいんですけども、保存会に加えて行政として横断的に現状把握とか情報整理を行う仕組みの検討というのは、今後可能なんでしょうか。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  民芸保存会のほかに行政として横断的に現状把握、情報整理を行う仕組みについては、現在のところ考えておりません。今後どのようにして文化を継承していくかについては、各地区において主体的に判断されると考えておりますので、まずは民芸保存会の中で必要な情報の提供やどのように担い手を育成するか、十分協議してまいりたいと思います。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 今ある民芸保存会の機能をもう一度見直して、そこを起点にもう一度てこ入れをされるということなのかなと思っています。  実際この文化振興係というのが今回発足をして、専門の担当の方が就かれているかと思います。そもそもこの文化振興係というのをつくられた背景というのを教育長にお伺いをしてみたいんですけども、大丈夫でしょうか。 ▼○教育長(岡 陽子君)▽ 文化振興係ができた背景ということでございますが、以前は立派な太良町史ができた時代もございました。それで、全体的に太良町の文化の振興について考えたときに、幾らかそういったものを再度復活できないかとか、それから子供たちが使う郷土史をもう一度何か新しい形で子供たちにも提供できないかとか、いろいろな場面で文化の振興について考える係が、そもそも総務係でやっておりましたけれども、それを一つ独立させて、文化振興係として太良町の伝統文化、それから芸能、そういったものを継承していく。それが私どものふるさとの原風景になっていくわけですよね。そういうものを大事にしながら少しでも振興できるようなそういった部署ができればということで、文化振興係ができたということでございます。  以上です。 ▼○5番(山口一生君)▽ 今の答弁をいただいて、文化振興係というのが今まで培ってきたものをきちんと整理をして次の世代に受け渡せる、伝えることができるというのを目指されているということで理解をしました。  今回こちらの浮立とかくんちとかお祭りについていろんな活動をされていく中で、民芸保存会の方々とこの文化振興係の担当の方というのは結構忙しくなられるのかなというところで思っています。この文化振興係が例えば各地区からの相談を受け付けたりとか、保存会ではちょっと扱えないような横断的な状況の情報を集約してみたりだったりとか、あとさっき言われた企画展募集の、言ったら要として今後動いていかれるというようなイメージでよろしいでしょうか。 ▼○教育長(岡 陽子君)▽ お答えいたします。  議員が今おっしゃったとおりでございます。いろいろな相談事というのは、確かにそれに全て応えるというわけにはいかないですけれども、いろいろな課題があるということを係として把握しながら、今後どのような支援ができるかということは考えていく必要があると考えているところです。 ▼○5番(山口一生君)▽ 実際その地区においても区長さんとかいろんな保存会の方がいらっしゃって、苦心をされているかと思います。それで、決断をすると、例えばやめるとか、1回休憩するとか、規模を縮小するとかなったときは、そのとき判断をした人というのが、ややもすると結構つらい立場になるということがまあまああるのかなというのを思っています。  それで、実際冒頭から申し上げているとおり、この問題というのは誰か一人の責任ということでもなくて、本当に人口が逆三角形になっちゃってて、本当に渡したい人と受け取る人というのがアンバランスになっているということ自体が、この続けていくことを難しくしているという構造的な問題がありますので、私はなるべくならそういったリサイズ、サイズを縮小するとか時間を短くするとかそういった判断を誰かがしようと思ったときに、なるべくいろんな意見を整理して、各地区の判断がしやすいような状況にしておく必要があるのかなと思います。でないと、そのとき区長をされてた方とかが、あんときやめられたもんにゃあとか言われても、なかなか厳しいものがあるかと思いますので、そういったところで可能な限り行政のほうでも伴走支援をしていただきたいなと思っています。  それについても、やっぱり人を集めていかないとなかなか継続するというのは難しいかと思いますが、例えば後継者の育成で成功しているような事例というのが近隣市町とかそういったところであるのか、今分かってることがあれば教えてください。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  これが11月に諫早市のほうで浮立フェスティバルというのがありまして、私も参加いたしました。これには太良町からも民芸の保存ということで参加をいたしました。その中での事例の発表で後継者育成に成功してる事例がありましたので、ここで御紹介させていただきたいと思います。  これにつきましては、諫早市の飯盛の田結地区ということで、1,300年の歴史がある地区でございます。この地区につきましても、伝承芸能の担い手が不足し、自分の地区だけでは存続が難しいと判断をし、地区外からの祭りに参加してる方を広く募集する取組を行われております。各学校や公共施設にチラシ等を配布いたして、その結果、新たに地区外の33名の方が参加し、後継者育成に成功した事例がありました。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ お隣の諫早市の飯盛町田結地区のほうで33名が参加をされたと。各学校とか公共施設にチラシを配布したところ、そういった方が集まってくるということで、実際その区に祭りがないところ、部落というかそういう区もありますので、もしかしたらやってみたいと思ってるお子さんとか成人の方というのはいらっしゃるのかなと思ったりもします。  それで、実際今までは例えば瀬戸地区なら瀬戸地区、油津地区なら油津地区、伊福なら伊福みたいな感じで、その区の中に閉じていたのが今までのやり方ではありましたけれども、実際人がいないとそれができないとなってくると、やりたい人をどうやって探すかというのが課題になってくるのかなと思っています。それで、やりたい人を探すというのは、各地区の発信には限りがあるので、そういったところはぜひ行政のほうで告知というか、そういったものが探されてますよとか、そういった1階の受付の窓口にありますよみたいなところはぜひやっていただけないかなと思っています。  それで、スポーツとかも同じですけれども、試合がないとなかなか練習にも身が入らないということで、今そういった披露する場というのが非常に少ないのかなと思っております。例えば浮立の演技披露の場の確保というのについて、今どういったやり方があるのかなというところで、現在の検討されている状況というのを教えてください。 ▼○社会教育課長(西田一夫君)▽ お答えいたします。  浮立の披露の場所を確保することは、参加者のモチベーションに大きくつながると考えております。今考えてることにつきましては、例えば太良町の文化祭の中で浮立などの披露が可能かどうか、文化連盟とか、あと出演団体と協議した上で実現に向けて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ▼○5番(山口一生君)▽ 実際子供たちとかも、例えばかけうちを見て、かっこよかって、それで笛とか吹いてみたいとか、太鼓をたたいてみたいとか、いろんなお子さんがいらっしゃると思うので、あまり早めに判断をせずに、いろんな例えば披露の機会というのをつくっていただけないかなと思っております。  それで、私が今まで言ってきたことがどういうことかというと、このまま続けるのは多分無理ですという結論が出るのかなと思っています。それで、私もこの一般質問を考えてるときに、そういうくんちとか浮立をやめたらどがんなっとかなというのをちょっと頭の中でイメージしたところ、まずいなと。やっぱりこれが完全に途絶えてしまったら、何か町の大事なものが途絶えてしまうような感じがして、それは避けたほうがいいんじゃないかなと思っています。でも、片や受け継いでいく人の負担というのも非常に大きくて、もちろん全員が全員お祭り大好きみたいなそういう人でもないですので、そういったところのケアというのも今後していく、それでやりたい人を積極的に探していく、そして披露する場をつくってみんなで盛り上げていくということが、今できることなのかなというふうに思っています。  それで、実際私が100年単位で考えたらどうですかみたいなことを最初に言ったんですけども、太良町のどこで見たかは覚えてないですけど、何か治水百年の計と書かれた石碑があって、ちょっとどこで見たかは覚えてないですけど、やっぱり山をつくるのに100年ぐらいかかるよと。それで、文化とかもそうなのかなと思っています。今回200年の森がネイチャーポジティブ30by30ということで、世界的に評価をされるような状態になりました。でも、そこまでいくのに例えば100年ぐらいかかってるわけですよね。なので、やっぱり文化を守っていくとかつないでいくということは、今この瞬間には経済的なメリットとかそういったものが見えなくても、つないでいく必要性というのは非常にあるのかなということを考えております。  なので、今いろんな係もつくって、今後いろんな方と話をされていくかと思うんですけれども、最後に町長にお聞きしたいんですが、いろんな難しさはあると思うんですけれども、各地区が気持ちよく判断ができるような状態。そのお祭りだけじゃなくて、例えば消防団とかいろんな地区の役とか、そういうものをこなしながらやってる若い世代もいます。そういうところについて町長としてどういうふうに今後伴走してもらえるのかなというところで今のお考えをお聞きしたいんですが、いかがですか。 ▼○町長(永淵孝幸君)▽ 今議員の質問を聞いていますと、どこでも困っておられる。これは祭りだけじゃない。いろんな産業においても、この今の人口構造というのに困っておられるわけですね、後継者もいないとか。そして、浮立だけでもない。いろいろなイベントが各地区にはあります。そういったところも多分できていない、また縮小して実施してると。やっぱり100年以上続いた歴史を自分たちのところでやめるわけにはいかないというふうなことで、皆さんいろいろな工夫をされて頑張っていると思います。  そこは私も十分理解しておるわけですけれども、この浮立とか各地区の祭りについて、行政のほうでそういった地区からいろいろな相談があれば相談には乗って、できる分とかできない分があろうかと思いますけれども、やっていくということは可能と考えております。しかし、各地区でいろいろなやり方が違うわけですので、そこを一概に町のほうでどうのということは、今の時点では、先ほど答弁をしましたように、考えていないとか無理だとか、そういうお話になってるわけです。  そして、私は伊福の浮立を見て、ある方が新聞に伊福から要請があったから出て楽しかったというふうなことを、これは佐賀の新聞に載せておられました。それを見て、私は感動したんですけれども、地域を思うというその気持ちは、太良町を出られても、太良町でこういった何があれば自分も、昔とったきねづかじゃないですけれども、出てみたいなというふうなことで多分来られたんだと思います。  ですから、そういったことで各地区で出られた方に声をかけてみるとか、そういったことも一つの方法じゃないかなと、私は伊福はそれはいい例をされたなと思ってました。本人さんに私も実は電話をかけて聞きました。そしたら、伊福から要請もあったと、じゃあ自分もそこで昔とったきねづかでやってみようというふうなことで参加したんですよというふうなことを言われたもんですから、本当にあなたの気持ちはすばらしいですねというふうなこともお話ししました。  ですから、この祭り事、いろいろなイベントを含めて、今のこの人口構造の中ではかなり厳しいものがあると。この祭りも時期的なものもあると思うんですよね。今年も伊福はされた、油津はされた、瀬戸はされた、里もされたと聞いております。しかし、その時期が一緒じゃないわけですね。今いろいろな、例えばミカンが忙しいとか、ノリの時期で忙しいとか、この時期は子供たちがクラブ活動に行って試合とかでおらんとか、いろいろなもろもろな問題があると思うんですよ。ですから、この辺をその地区の方と一緒になって町が、社会教育課長が答弁しておりましたけれども、民芸保存会の方だとかと話をしながら、今まで続いた伝統というのをそこで終わらせてもらいたくないというのは、私も同じ気持ちです。ですから、そこをいかにして今後につなげていくかというところは、これは各産業と一緒ですけども、答えが見えないところが悩ましいところです。  まとめになりましたけれども、以上です。 ▼○5番(山口一生君)▽ ありがとうございます。町長も、先ほど答弁をいただいたとおり、やっぱり答えがすぐに出せるようなものではないということをおっしゃっていただきました。私も本当に同じ考えです。  地区ごとに本当にいろんなやり方があって、それを例えば乱暴に一個にまとめてしまうとか、そういうこともちょっと不可能なのかなと思っています。なので、その各地区の皆さんが自分たちの地区にとってどれを残すべきかというのを話し合う必要があると思いますし、その話合いをするときに判断材料が足りなければ、例えば民芸保存会とか文化振興係の方とか、広く情報を持ってる方がそういったところに伴走していく、そしてなるべく継続できるような形を模索していくというのが今後必要になってくるのかなというふうに思います。  本当に私もいろいろ調べてて、これはすごい厄介だなと思いました、やっぱりいろんな思いが交錯してるので。でも、なるべく残していくということについて、もう一度町全体で考えるようなきっかけ、機運が生まれればいいなと思っております。  これで私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。