森林を守り育て生かす:多良岳200年の森づくりと「木を町内で使い倒す」循環
この記事の要旨
多良岳200年の森が国の「自然共生サイト」に認定されたことを出発点に、不在地主・境界不明森林の管理、山林火災への初動態勢、担い手育成、町産木材の公共利用など、森を次の世代へ手渡す具体策を問いました。
まとめ
- 事実:「多良岳200年の森づくり」が国の自然共生サイトに認定された。一方で、不在地主や境界不明の森林の増加、山林火災リスク、森林組合の担い手確保が直面する課題となっている。
- 論点:認定をゴールとせず、町産木材を公共事業や駅・木育などで徹底して使い倒し、町外に流出しているお金と木材を町内で循環させる仕組みをどう作るか。
- 次の問い:多良岳の水と森を守るために、針葉樹と広葉樹が共生する「災害に強い人工の自然林」へ誘導し、町が森林管理の受け皿をどう整えていくか。
質問の背景(なぜこれを聞いたのか)
太良町のシンボルである多良岳は、有明海の豊かな恵みと町の生活用水を支える「命の水がめ」です。先人たちが何十年もかけて育ててきた「多良岳200年の森づくり」が国の自然共生サイトに認定されたことは大変誇らしい成果です。
しかし現場に目を向けると、山主の高齢化や世代交代により「境界が分からない」「連絡が取れない」山林が増え、手入れの停滞や山林火災の延焼リスクが高まっています。
山林運営委員会委員長としての立場からも、この歴史ある森林を守り、森林組合の担い手を支え、町産木材を町内で活かす経済循環を確立すべく、町の方針を質しました。
質疑の整理(要点)
1) 自然共生サイト認定の成果と今後の位置づけ
Q. 国の「自然共生サイト」認定を町の重要成果と捉え、森林全体を次世代に残す財産として総合計画等に位置づけていく考えはあるか。
A.(町長答弁) 大きな成果と認識している。第5次太良町総合計画でも「森林の多面的機能の持続的発揮」を主要施策として位置づけており、長期的な視野で管理育成を進める。
2) 不在地主・境界不明森林の管理受け皿
Q. 持ち主不明や境界未確定で放置される森林について、町が預かって管理する仕組みなど受け皿を整える考えはあるか。
A.(町長答弁) 町内の森林の大部分は太良町森林組合の「森林経営計画」に参加しており、相続人への参加打診も行われている。他自治体のような荒廃森林は比較的少なく、現時点で町直営での管理受け皿は考えていない。
3) 山林火災への初動態勢と延焼防止
Q. 近年多発する山林火災に対し、林道整備や防火線、消防団の初動態勢をどう強化しているか。
A.(町長答弁) 町有林の防火線整備、林道周辺の草払いや支障木伐採を継続している。消防団では平時からの水利把握と中継送水訓練を実施し、迅速な消火初動態勢を整えている。
4) 森林組合の担い手維持・住環境支援
Q. 森を守る担い手を確保するため、新規就業者の住まいや雇用環境への支援をどう進めているか。
A.(町長答弁) 林業振興推進費補助金や森林整備担い手育成事業費補助金を活用し、新規参入者の支度金や通年雇用・福利厚生等の補助を実施して組合の体制維持を支えている。
5) 町産木材の公共利用と町内循環
Q. 町外に出ていくお金を町内に残すため、公共工事や公共施設、教育現場などで太良町産木材をもっと使う方針はあるか。
A.(町長答弁) たらふく館や町営住宅サンモールおおうら等に加え、多良駅待合室の改修(壁・テーブル)や、誕生祝い品のウッドスタート事業(木育玩具)など積極活用を進めている。今後も活用可能な分野で利用を促進する。
6) 針広混交林(生物多様性)の森づくり
Q. 針葉樹一辺倒ではなく、広葉樹を交えた災害に強く水を生み出す森づくりを進める考えはあるか。
A.(町長答弁) 適切な枝打ちと間伐で林内に光を入れ、下層に広葉樹が育つ「人工の自然林」形成を目指している。生物多様性と水源涵養機能の向上を図る。
メモ
- 多良岳の森は、有明海のノリやカキ、そして町の農業・水道のすべての源流。山を守ることは、海と暮らしを守ることに直結する。
- 木材をただ伐り出すだけでなく、多良駅の待合室や子どものおもちゃ(木育)のように「町民の暮らしの中で見える形」で循環させることが、山への愛着と地域経済の双方を育てる鍵になる。
一次情報
- 令和8年3月定例会(第1回)太良町議会 会議録(2日目・一般質問)
- 議事録原本PDF:太良町公式ホームページ(https://www.town.tara.lg.jp/var/rev0/0022/9183/126819184843.pdf)
会議録(全文テキスト)を読む
5番(山口一生君)
議長の許可を得ましたので、通告に従い質問をさせていただきます。 今回は森林を守り育て生かすことについてということで、多良岳、太良町の林業とか山の ことについて質問をしていきたいなと思っています。 本町の多良岳200年の森づくりが自然共生サイトに認定されました。これは先人たちが何 十年もかけて山を守り育ててきた努力の結果であり、町にとって大きな成果であると考えま す。この努力を無駄にせず、次の世代にしっかりとつないでいくために今何をすべきかを問 いたい。 一方で、持ち主が分からない、連絡が取れない、境界が不明確な森林が増え、手入れがで きない状況が広がりつつあります。森林組合の担い手維持、山林火災への備え、町外へ流出 するお金を町内で回す仕組みの不足など、課題は重なっております。先人が残してくれた森 林という財産を守り育て生かしていくために、町としての考えを質問していきたいと思いま す。 1つ目、多良岳200年の森づくりが自然共生サイトに認定されたことを町の重要な成果だ と考えているか。また、この成果を出発点として町の森林全体を次の世代に残す大事な財産 として守り育てていく方針を町の計画や方針にきちんと位置づけていく考えはあるか。 2点目、持ち主が分からない、連絡が取れない、境界がはっきりしないなどの理由で、手 入れができない森林が増えています。こうした森林について、町として預かって管理する仕 組みなど、受皿を整えていく考えはあるか。
3つ目、山林火災が起きたときに被害を広げないために、日頃の手入れや林道の整備、初 動態勢など、町として備えを強めていく考えはあるか。 4つ目、森を守り育てるには、担い手が欠かせない。森林組合の体制を維持するために人 材確保や住まいなど、働き続けられる環境づくりを町として支える考えはあるか。 5つ目、町外に出ていくお金を少しでも町内に残すために、町の仕事――公共工事や公共 施設など――で木をもっと使う方針を持つ考えはあるか、どのような事業から試していくの がよいと考えられるか。 6つ目、自然共生サイト認定をゴールで終わらせず、町の森林全体で針葉樹だけに偏らな い森づくり、広葉樹を増やすことなどを進めていく考えはあるか。 以上、6つについて回答をお願いします。
町長(永淵孝幸君)
山口議員の森林を守り育て生かすことについてお答えいたします。 1番目の多良岳200年の森づくりが自然共生サイトに認定されたことを町の重要な成果だ と考えているか、またこの成果を出発点として町の森林全体を次の世代に残す大事な財産と して守り育てていく方針を町の計画や方針にきちんと位置づけていく考えはあるかについて でありますが、国――環境省、農林水産省、国土交通省――が推進する自然共生サイトに認 定されたことについては、町としても大きな成果だと考えております。 また、第5次太良町総合計画の中でも森林の持つ多面的機能の持続的発揮に向けた森林の 保全育成に努めることを主要な施策と位置づけており、今後も長期的な視野で森林の管理育 成を実施していきたいと考えております。 2番目の持ち主が分からない、連絡が取れない、境界がはっきりしないなどの理由で手入 れができない森林が増えている、こうした森林について町として預かって管理する仕組みな ど受皿を整えていく考えはあるかについてでありますが、太良町の森林については、大部分 が太良町森林組合に委託をしている森林経営計画に参加してもらっており、例えば持ち主が 亡くなられた場合は相続人へ計画の参加の打診もしてもらっており、ほかの自治体に見られ るような荒廃森林については少ないものと考えております。町で管理することについては、 今のところ考えておりません。 3番目の山林火災が起きたときに被害を広げないために日頃の手入れや林道の整備、初動 態勢など町として備えを強めていく考えはあるかについてでありますが、山林火災について は、近年多発しており、町としても憂慮しているところであります。現在の対策としては、 町有林の防火線の整備、林道の維持管理として林道周辺の草払いや支障木の伐採も行ってお り、延焼防止につながっていると考えております。 また、太良町消防団では、資機材の充実や点検整備に加え、団員の知識と技術の向上に努 めており、平時から水利の位置を把握し、送水のための中継技術の向上を図るために各分団
による中継送水訓練を実施するなど、山林火災への初動態勢の強化を行っております。 4番目の森を守り育てるには担い手が欠かせない、森林組合の体制を維持するために人材 確保や住まいなど働き続けられる環境づくりを町として支える考えはあるかについてであり ますが、担い手対策については、太良町林業振興推進費補助金や太良町森林整備担い手育成 事業費補助金など、担い手確保のための雇用条件整備を図り、新規参入者の支度金や通年雇 用のための福利厚生等に対する補助を行っており、森林組合の体制維持の支えになっている と考えております。 5番目の町外に出ていくお金を少しでも町内に残すために町の仕事――公共工事や公共施 設など――で木をもっと使う方針を持つ考えはあるか、どのような事業から試していくのが よいと考えられるかについてでありますが、太良町産木材の利用促進につきましては、議員 御指摘の公共工事や公共施設等で活用できる部分については積極的な活用を実施しており、 以前からたらふく館、活性化センター、ゆたたり館、町営住宅サンモールおおうらなどに活 用し、今年度においても多良駅の待合室改修での壁やテーブル、またウッドスタート事業に 伴う木育玩具に利用しております。 6番目の自然共生サイト認定をゴールで終わらせず、町の森林全体で針葉樹だけに偏らな い森づくり、広葉樹を増やすことなどを進めていく考えはあるかについてでありますが、町 の林業施業の方針として、適切な枝打ち、間伐により林内の光環境を保つことにより、低木 層に広葉樹があり、より災害に強く水源涵養機能の高い人工の自然林の形成を目指しており ます。今後も針葉樹と広葉樹が共生する森林をつくり、生物多様性の保たれた森林の維持に 努めていきたいと考えております。 以上でございます。
5番(山口一生君)
答弁ありがとうございます。 今回山のこと、林業のことを質問をさせていただくに当たって私の立場を明確にしておき たいなと思ってるんですけども、私は今町の山林運営委員会の委員長をさせていただいてい ます。それで、いろんな執行部の方とか森林組合の方とか、町長をはじめいろんな方と山の ことについて話す機会を多くいただいています。その中で、完璧に間伐、枝打ちされて管理 をされた太良の山というのを、現地を見たりいろんな話を聞いたりすることがよくあります。 それで、範疇としては町有林なので、太良町の約半分が山になっていて、町有林を除くと民 有林も多くある。そういう中で、今後この完璧に維持されてきたものをどうやって次の世代 に引き継いでいくのかというのがかなり大きなことなんじゃないかなと思って、今回質問を させていただいてます。 それで、実際どのぐらい自分事として捉えておられる方がいるのかなと考えたときに、山 の持ち主の方について最初に整理をしておきたいなと思っております。実際太良町で山を持
たれている方が何名ぐらいいらっしゃって、その方というのは町に対して固定資産税等どれ ぐらいの税金を納めていただいているのか、そこから回答をいただきたいと思います。
税務課長(羽鶴修一君)
お答えいたします。 まず、山林の納税義務者数でございますが、令和7年度で1,366人でございます。また、 税額につきましては、年間540万円程度と見込んでおります。 以上でございます。
5番(山口一生君)
納税義務者数が1,366人で、固定資産税、税金が540万円程度年間納めていただいていると いうことだと思います。 山は固定資産税もそんなに高くないので面積の割にはこんなもんかなというところはある と思いますが、対象が1,366人と、人数でいったらおよそ5分の1ぐらいになるんですが、 世帯主が恐らく権利を持っているので、3,000世帯ぐらいある中の1,366世帯が山を持ってい る、もしくは山を管理することを今後もやっていかないといけないということになるので、 約半分の世帯が今後も山のことについて考えていかないといけないということになるかと思 います。そうなってくると、面積の半分がもちろん山、持ち主も半分が山に関わっていると いうことが今分かると思います。 それで、今後の計画を考える上で、私の令和2年3月の一般質問の中で、森林環境譲与税 を活用し所有者の意向調査を4年かけて実施するとの答弁がありました。その調査結果の進 捗及び現状について、まずお伺いしたいと思います。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 令和3年5月に町内に森林を所有し経営管理が行われていない130ヘクタール、308名を対 象に、現在の管理状況、間伐などの実施状況、今後の管理についての意向調査を実施してお ります。その調査結果を基に令和4年度に町での管理が可能かどうかの検討を行い、既に雑 木や天然林であることや地形、場所が森林作業道開設に不向きであり、町での管理には適地 ではないという判断をしているところでございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
調査をしていただいた結果、森林施業の集約化並びに地形、場所が森林作業道開設に不向 きであり、町での管理に適地ではないということを判断されたということを理解しました。 それで、山の中にもいろいろ場所はあると思います、日当たりがいい場所、日当たりが悪 い場所、水気が多いところ、少ないところ。自然環境なので当たり前なんですけども、そも そも杉の木を植えるのに適してない土地というのも多く実はあると思います。しかし、林業
を進めていく、植林を進めていく中で、かなりいろんなところに植林をしてきているという のが実態だとは思います。 それで、令和3年の意向調査の結果に基づく判断については承知いたしました。その結果 を踏まえて、町全体の4,100ヘクタールの森林についてエリアごとの優先順位とか段階的な 整備計画など今後の方針をどのように考えられているか、そこについて教えてください。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 太良町の人工林におきましては、森林経営計画に基づきまして、県及び森林組合と協議を しながら、適期が来た山林において除伐、枝打ち、間伐を計画的に行ってまいっているとこ ろでございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
森林経営計画というのがあって、それに基づいていろんな関係者の方々と協議をしながら 物事を進めているということで理解をしました。 この森林経営計画というのが山の林政について非常に重要な位置づけにあるというのが見 えてきた部分があるんですけれども、この森林経営計画というのを一般の方というか素人に も分かりやすく簡単に言ったらどういうことなのかというのを教えてもらってもいいでしょ うか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 森林経営計画とは、簡潔にお答えしますと、森林の持続可能な管理と利用を目的とした計 画で、適切な施業計画を行うというような計画でございます。太良町におきましては、令和 5年から令和10年までの5か年計画を作成しているというところでございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
どういうふうに管理をしていくかという計画で、令和5年から令和10年までの間で今のと ころは計画をされていると。5年ごとに恐らく見直しをしていくようなものなのかなとは思 います。 それで、こういう計画をつくりながら実態を把握しながら進められているところだとは思 うんですけれども、今後かなり状況が変わるのが予測されるのが、山の土地の相続とかそう いったところが今後増えてきたときに多少は混乱するタイミングが来るのかなというふうに は考えています。 それで、この管理の受皿について、最初の答弁をいただきましたけども、現在は森林組合 によって適切に管理されていると認識していますが、一方で今後1,366人の山林納税義務者
が相続の時期を迎えた際に管理放棄が増加するリスクについて、町としてどのような見解を お持ちでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 山林の管理放棄地につきましては、町長の答弁にありましたとおり、現在大部分が太良町 森林組合に委託をしております森林経営計画に参加していただいているところでもあり、相 続された場合も森林組合から継続して計画への参加のお声かけをしていただいております。 また、届出がない所有者死亡の山林の近傍地を間伐する場合も、相続人を調査の上、お声か けいただいており、太良町の森林に関しましては他の市町より山林の管理放棄地の増加のリ スクは著しく低いと考えております。 以上でございます。
5番(山口一生君)
他市町よりリスクは低いというところで認識をいたしました。 リスクが低い今のうちに将来の相続放棄等を見据えて受皿となる仕組みをつくるなど、今 後そのリスクが低いうちに、対処がしやすいうちにどういうことをするかということを考え られているか、そこについて教えてください。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 先ほど答弁させていただきましたけれども、森林組合から継続して森林経営計画への参加 の呼びかけをしていただき、それでもそういった計画に参加していただけない場合があると 思いますけれども、そういった場合の全ての民有林を管理するためには財源と労力が過大に 必要になると思われますので、今後はゾーニングを行いながら管理ができない民有林につき ましては自然林になる可能性も検討していかなければならないと思っております。 以上でございます。
5番(山口一生君)
所有者の方がどういう意識で自分の財産を考えているかというところが大きな分岐点にな るのかなというふうに考えています。もちろん、自分の山の管理に熱心な方もいらっしゃれ ば、実際自分の山がどこにあるかもう分からんもんねみたいな、多分あそこんたいんにきに あるって思うけどみたいに宙を指して言われる方も結構おられるので、実際どこにあるかと いうのを、ほとんどの方が多分現地を見たこともないし作業もしたことがないというのが正 直なところかなとは思います。 でも、そういう中で、答弁をいただきましたけれども、自然林になる可能性、つまり野に 帰るということがあり得るというのは、致し方ないというか、しょうがない部分なのかなと は思います。しかし、所有者の方に町のほうから積極的に御自分の山を適切に管理できるよ
うに関心を持っていただくというような発信をしていくことは今後ますます重要になってい くのかなというふうに考えております。 次に、山林火災の対策についてお伺いをしました。 残置残材や剪定枝の放置が火災の燃料となるリスクを考慮して、これらを資源として回収 する仕組みを検討する余地があるかについてお聞きしたいと思います。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 残置残材等の質問でございますので、残置残材につきましては、土壌の安定性の維持や栄 養還元に資する目的、また土砂災害による土砂流出の抑制にもつながっており、またコスト 面の点も踏まえて、現在回収する考えはございません。 以上でございます。
5番(山口一生君)
私が山を見て回ったときに何か木が置いてあるなとかというのを思ったこともあって、あ れは何も考えずに置いてあるわけではなくて、土砂の流出とかそういったものを考慮して意 図的に配置をされているということでよろしいでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
はい、議員お見込みのとおりでございます。
5番(山口一生君)
そしたら、ここについては、火災のリスクも確かに置いとったらあるかもしれんですけど も、土砂災害のリスクを軽減するというほうがはるかに利益があるということで理解をいた しました。 そういった山の状況を考えていくと、森林組合とかそういった山のお仕事をされる方とい う担い手を今後どのように確保、育成していくかということについて非常に大きな課題があ りそうだなというふうに感じています。 それで、この担い手の育成、定着についてですが、令和2年当時に緑の雇用で5名を育成 したとの答弁がありましたが、現在の定着状況及び作業員数を教えてください。補助金以外 に住まいの確保など生活環境面において町が実施できる支援策はあるんでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 令和2年当時、緑の雇用で5名育成した方々については、現在2名の方が定着されている とお聞きしております。住まいの確保等につきましては、農林水産課独自での取組はござい ませんが、空き家バンクの利用や太良町移住支援補助金等の活用などの支援策がございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
緑の雇用で5名育成した方について、現在2名の方が定着をされているということで理解 をしました。 実際、向き不向きがあると思いますので、最初は林業をやってみたいと思って来られた方 でもいろんな状況の変化とか心境の変化とかそういったものがあるかと思いますので、その 中でも2名の方が残っていただいているというのは非常に喜ばしいことなのかなというふう に考えています。 それで、太良町の森林組合の作業員数は現在23名ということになっているんですが、これ は人数がどのように変化してきているか、そこについて情報をお持ちであれば教えてくださ い。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 森林組合の作業員数につきましては、最大で過去35名程度いらっしゃったというようなお 話を聞いております。現在のところ、議員お話しされた23名の作業員がおられるということ でございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
最大で35名いらっしゃった中で、現在いてくださる方が23名ということで理解をしました。 それで、実際かなりの数の方が減っているというか、いろんな御事情があって辞めたり引 退されているかと思うんですけれども、かなり広範囲の山を管理しないといけないので、人 手がもっとあってもいいというのが正直なところなのかなとは思います。 こういった中で、人手を増やしていく中で、空き家バンクとか移住支援補助金等が有効に 今こういった林業関係の対策について活用されているのか、そのあたりについて情報をお持 ちであれば教えてください。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 空き家バンクの活用につきましては現在1名、移住支援の補助金につきましては、佐賀県 と県内市町が推進しております事業でありまして太良町からの直接の補助ではございません が、森林組合の職員様で補助を受けられた方は現在2名いらっしゃるとお聞きしているとこ ろでございます。 以上でございます。
町長(永淵孝幸君)
以前まだ補助がないとき、森林組合の職員さんが太良町の空き家を利用して移住していた だいて、今も森林組合に勤務しながらここに永住していただくというふうなあれもございま すが、それは私が中に入ってその空き家をあっせんしたというところでございます。
以上です。
5番(山口一生君)
今のところそういった空き家バンクを通じて住むところが見つかったりとか、移住・定住 の支援とかそういったものの支援を受けている方もいらっしゃるということで理解をしまし た。使えるものはいろんなものを積極的に使っていきながら人材の確保に努めていく必要が あるのかなとは思っております。 それで、森林組合だけの話をずっと私もしていますけれども、実際かなり高度な技術を要 する施業をされていて、例えば架線ワイヤーを使って木を切り出す、運ぶとか、そういった 技術を持っている方が実質太良町の森林組合さんしかいらっしゃらないというのが現状なの かなと思っています。例えばほかにも町外の業者さんとかで木を切れる方というのはいらっ しゃるかもしれないですけれども、例えば太良町の山を維持してきた形での管理、施業とい うのは、やはりノウハウを持ったところが今後も継続していくほうがリスクが少ないのかな というのは思っています。そういう中で、木材の利用について質問をさせていただいていま したけれども、いろんなところで太良町産材のPRをしていただいて、いろんなところで今 までも使われているということでお話をいただきました。 それで、木もピンキリあって、物すごくいい材から、例えば日当たりが悪いところとか水 加減の具合ではあんまり伸びないとかそういうのでひょろひょろしてるとか、間伐がうまく いってないところの材とか、そういうものについてはうまく市場で売るのが難しい丸太もあ るのかなとは思います。そういったものの活用について、建築資材、A材のみならず土木資 材、B材としての間伐材利用、例えば丸太で土留め工をするとか木製の防護柵を作るとか、 そういった活用の取組方針を教えていただきたいと思っております。 加えて、端材や林地残材を木質ペレット等に加工をして、例えば町内の温水プールとか農 業ハウスとか旅館での温泉とか、そういったところに燃料として提供できる可能性とか、そ ういった活用の幅というのについてお伺いしたいと思います。
町長(永淵孝幸君)
この間伐材につきましても、今森林組合のほうでかなり手入れをしていただいているよう なことで、これは市場に出して金に換えていただいているというふうなことでございます。 ですから、そういった施業を森林組合が今一生懸命、町内の山、町有林を含めてですけれど も、山持ちさんたちにも働きかけをしながら取り組んでいただいておりまして、結構間伐材 といえどもお金になっているというふうなことになっておりますので、ほぼほぼ市場に出し ていただいていると。 以前この木質ペレット化の話が過去に、10年前ぐらいですかね、ありました。しかし、今 申しますように材積、結局ペレットにする材がないというふうなことで断念し、また誰がす るか、これだけの機械設備を備えてペレットにして本当に採算が合うのかというふうなこと
で、それはできないというふうなことになって断念したいきさつもございます。そういった ことで、木質ペレット化とか温水プールとか何かで使うということは今は考えておりません。 こういった上で、議員もいろいろ今山林についてお話をしていただいておりますけれども、 議員も令和元年から山林運営委員として太良町の山林運営に関するいろいろなことについて 御協議をいただいております。それで、5年からは山林運営委員長として、今度は町のいろ いろな山林運営に関する諮問機関として取り組んでいただいていることに対しましては、お 礼を申し上げるわけです。しかし、その中で、こういったところで今議員が言われてるよう な山林に対するいろいろな思いがあるとすれば、そういった中でいろいろ議論していって、 太良町の山林をどうして守っていくのかというふうなことを含めて御協議いただければと思 っておりますので、これからも引き続き、この山林に対して一生懸命になっていただいてい るのは十分認識をしておりますので、町の諮問機関としていろいろと取り組んでいただけれ ばと思います。 以上です。
5番(山口一生君)
その木質ペレットについては、以前も検討をされてバイオマスの発電とかそういったお話 も昔されたというのは、私も昔の情報を当たって、見ています。それで、電気に変えるとい うのはちょっと難しいかなと思っていたので、そういった活用の幅の検討の材料として一つ 挙げさせていただいたということで御理解をいただきたいなと思います。 それで、施設整備等では使っていただいていて、先ほど土木とか公共事業に使えないかと いう話もして、木質ペレットではなくて材として使えるというのがあって、最近よく聞くの が、木製のガードレールとか土木資材としての活用も含めて、このあたりについて調査研究 をされる可能性はあるのか、そこについて教えてください。
総務課長(津岡徳康君)
お答えいたします。 交通安全施設の整備担当ということで、総務課のほうから答弁をさせていただきます。 ガードレールにつきましては、従来の金属製のものと比べますと、木製ですと、少なくと も施設の寿命はかなり短くなることが見込まれます。そういったことで、非常に丁寧な維持 管理を頻繁に行う必要があるものになると思います、ガードレールに採用した場合ですね。 そのような施設ですから、大量にそれを町内で採用しますと、すごく手がかかる、お金もか かるということが見込まれますので、そういったものを整備する場合は、景観に配慮するよ うな景色がきれいなところに採用するというようなところで、特定の場所で採用するのが一 番いいのかなというふうには思います。そういった場合は採用することはできますけれども、 議員がお考えの木材を利用した地域経済の循環というものには少し力が弱い施策になるとい うふうに思います。
そういったことから、ガードレールやガードパイプなどを木材で町内一円で利用するとい うことにつきましては、非常に難しいのかなというふうに思っております。これは特別な計 画とか町の大きな方針があればまた別ですけれども、現段階ではその採用の可能性は低いと いうふうに言わざるを得ませんということになります。 以上でございます。
5番(山口一生君)
非常に丁寧に答弁をいただきまして、ありがとうございます。 そのガードレールは、私もいろいろ改めて調べよったらこんな使い方があるのかというと ころでちょっと感心したものがあったので、そのガードレールについてはお伺いをした次第 です。 それで、実際に全部を入れ替えるとかということは非常に難しいと思います。それで、活 用をされている地域、もちろん林業が盛んな地域では、もちろん観光客がいらっしゃるとこ ろとかそういう目につくようなところでその地域の材をPRするような目的で、人が集まる ところについてこれ見よがしに木質ガードレールをつけたりとか木の柵をつけたりとか、そ ういうふうに対応をされているというのがほとんどだと、調べた限りでは言われております。 それで、今国土交通省のほうもこういった木質のガードレールについては国として積極的な 支援を行われているという情報もありまして、引き続きどういう使い方ができるかという選 択肢の一部として考えていきたいなとは思っております。 次に、森の多様化についてお伺いをしたいと思います。 先ほども1番、トップバッターの森田議員のほうから海の環境について質問があり、山と 川と海ということで、お互い自然の生態系というのはつながっているというのは皆さん御存 じのとおりだと思いますけれども、令和2年に漁業者の方から提出された広葉樹植栽の請願 について、その後の進捗状況について教えていただきたいと思います。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 令和5年に提出されました請願内容につきましては、当時漁業者の方から有明海の再生と 環境保全のためにというような請願内容で、広葉樹の植樹を進めていただきたいというよう な請願内容となっておりました。 この請願内容につきましては、県で現在進められている森から川、川から海に至る物質還 元の流れを一体的に結びつける森川海人っプロジェクトや多良岳200年の森の趣旨にも合致 した請願であると当時から認識しており、現在も小学5年生を対象とする広葉樹を植林する 植樹体験の継続や200年の森の林間に広葉樹を植えた新たな人工林として針葉樹、広葉樹の 混交林化した複層林を推進しているところでございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
これまで森川海人っプロジェクトとか小学5年生を対象として広葉樹を植樹するというこ とをやられていたり、針葉樹と広葉樹を組み合わせるという混交林化を推進をされていると いうことで理解をしました。 それで、聞き及んだところで、この自然共生サイトというのに太良町のほうが多良岳 200年の森というのを登録をされているかと思うんですけども、この自然共生サイトという のがどういうものであるのか、それについてもう一度教えていただけないでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 自然共生サイトとは、民間等の取組等によって生物の多様性の保全に貢献するような管理 がなされている区域につきまして国で認定していただく取組となっているところでございま す。 以上でございます。
5番(山口一生君)
この自然共生サイトということを調べていくと、例えば唐津で藻場の再生をされていると ころであったりとか嬉野のほうのお茶畑とかそういったところがヒットしてくるんですけれ ども、皆さん自然の環境を維持して生物多様性を広げていくためにいろんな努力をされてい るというところが認められたのかなというふうに思っております。 それで、実際に多良岳の200年の森というのは、どういった評価をいただいて今回のこの 認定に至ったのか、そのあたりについて背景を教えていただけないでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 自然共生サイトに至る背景でございますけれども、現在200年の森ということにつきまし ては、平成26年度から200年先を見据えた長伐期大径木生産を計画しており、防災、水源涵 養、そして先ほど申しました生物多様性の確保等々の公益的な機能を併せ持つ森林づくりを 目指して、太良町のシンボル区域に指定している町有林でございます。そういった山づくり についての事業計画が今回地域生物の多様性増進法に基づく自然共生サイトの認定を受けた というような形となっております。 以上でございます。
5番(山口一生君)
その自然共生サイトへの認定の際に、実際に環境省の方が太良町にいらっしゃって山を視 察されたというお話を聞きました。そのときにどういったコメントというか感想を持たれた のか、そのあたりについて教えていただけないでしょうか。
農林水産課長(片山博文君)
お答えいたします。 多良岳200年の森づくり事業活動計画が自然共生サイトに認定された折、九州農政局の環 境事務所の所長様から認定書の授与を太良町役場でしていただき、その後200年の森を視察 された折には、様々な森林を見てきたが、このように管理が行き届いた人工林の中での複層 林は他に類を見ないというようなお褒めの言葉をいただいているところでございます。 以上でございます。
5番(山口一生君)
いろんな山とかそういった場所を見てきた環境省の所長さんが他に類を見ないということ で絶賛していただいたというのは、非常に太良町としては喜ばしいことなんじゃないかなと 思います。それで、実際に70年とか80年とかかけて育ててきたこの山とノウハウ、それに関 わった多くの方々、そういった方々の努力が本当に時を超えて今ようやく認められたという のが非常にすばらしいことでありますし、誉れなことだと思います。 しかし、この管理を完璧にしてきて維持してきたものを今後もどこまで維持し続けること ができるかというのは、その瞬間その瞬間の当事者で本当に頑張っていくしかないのかなと いうのが実情だと思います。私も100年後のことを聞かれても、いや、俺多分おらんけんな と言うしか言いようがないので責任の取りようもないんですけれども、その時々で山のこと を知って、太良町に住んでいるんであればやっぱり山のことを勉強して、ここは大事なんだ というような共通認識を持っていけるような、そういった情報発信をしていただきたいなと 思っております。それで、今1,366名の地権者の方がいらっしゃって、なるべくならその財 産が毀損されないような状態で維持をしていくというのが一つ大きな課題かなと思っており ます。 それで、2つ目で、せっかくここまで育った木、使うタイミングを迎えた木が太良の山に はたくさんあると思います。このおかげで本当にいろんなことがもしかしたら太良町の経済 を動かすエンジンになる可能性もあるなと、もちろんガードレールを全部替えてくださいと かそういう話ではないんですけれども、こんなにすばらしい木を町の中で使えるチャンスが あるというのは、全国的にも太良町しかないのかなとは思っております。 先ほど町長も山林運営委員会の中でもっと議論を深めていこうということをおっしゃって いただきましたけれども、いろんな方が山のことについて関心を持っていただきたいという のが私のこの質問をしている発端ではあります。なので、町長が今この山についてどういう ふうにお考えになっているのか、そこを最後に聞いて終わりたいと思いますが、いかがでし ょうか。
町長(永淵孝幸君)
今担当課長からもいろいろるる説明しておりますけれども、太良町の山、山林は4,100ヘ クタール余りあるわけですね。そんな中にあって、この先人たちが育ててきた山が今木材価
格の低迷によってなかなか材価という形で実績が上がってこないというふうなことで、今の ところ伐採しないでそのまま立てておくというふうな状況が続いているわけですよ。 しかし、こういったことの手入れを今森林組合がやっていただいております。これは緑の ダムといいますか、うちは水道水は地下水に頼っているわけです。そういったことによって、 この山を維持、育て、管理していく上では、やはり森林組合関係者をはじめ、山主さん、地 主さんの方々の協力がないとできないわけでありますけれども、今そういった手入れをして いただいてるおかげで太良町は山の災害もないと、そして大きな災害もないというふうな状 況でございますので、これは持続的に続けていく必要があると、このように認識しておりま すので、先ほどお話ししておりますけれども、これからも山林運営委員会の委員の皆様方と いろいろ議論をしながら、この太良町の山林をどうして残していくかということは当然取り 組んでいく必要があると、このように考えておりますので、議員もそういった委員会の委員 長でもあられますので、御協力をよろしくお願いいたします。
5番(山口一生君)
ありがとうございます。私もしっかりといろいろ考えていきたいなと思っております。 最後に一個だけ言いたいんですけれども、一番気になってるのは、相続をした方が太良町 の外に住んでいるケースが今後増えると思います。そうなったときに関心をちゃんと持って いただけるような仕組みというのは何なのかというのを今後皆さんと一緒にもっと議論して 深めていきたいなと思っております。当事者が町におったらいいんですけども、いない場合 にどうするか、太陽光と似たような考えになってくると思うんですけれども、そのあたりを 含めて引き続き話をしていきたいなと思っております。 では、私の一般質問は以上になります。